
活動を休止していた藍井エイルさんの復活公演、藍井エイル Special Live 2018 ~RE BLUE~に行ってきました。
この人の歌はすべて、このときのためにあったのかもしれない。
一言で言ってしまうならば、そんなことを感じるライブでした。
個人的なことを言えば、ファン仲間との久しぶりの再会などもあり、同窓会のような、始業式のような、不思議な期待と緊張がありました。
そしてデビュー当時から(正確にいうとデビューの3カ月くらい前から)エイルさんを追っている身としては、とても感慨深いものがありました。
2016年11月から活動休止に入っていたエイルさんは、2018年2月に活動再開を発表。
6月に新曲をリリースしましたが、このライブまでイベントは一切行わず、インタビュー記事や本人のTwitterなどでも姿はほとんど見せず、CDのジャケットやブックレット、ミュージックビデオくらいでしかその姿は確認できませんでした。
エイルさんが公の場に姿を見せるのは、活動休止前の最後のライブ『Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 ~LAST BLUE~ at 日本武道館』以来、649日ぶりとなります。
そのときの参戦記録はこちら
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開演の30分ほど前から、会場内には『虹の音』のオルゴールバージョンが流れていました。
『LAST BLUE』の終演時にも流れていたあの音に、早くも涙が出そうになります。
前回の『LAST BLUE』とは少し変えてきましたが、今回も花道や派手な大道具はない、あくまでシンプルなステージセット。
ステージ奥に高台があり、その手前、上手側にはギター、DJ卓、キーボード、下手側にはドラム、ベース、ギターという配置でした。
そしてステージ背面には大きなスクリーン。
開演までの間は、ここに青い光が小さく脈打っていました。
2018年2月1日、エイルさんの公式サイトで復活の予兆を表していた、あの光です。
開演時刻が近づくにつれ光が大きくなり、心臓の鼓動のような音が聞こえてきます。
オーディエンスの気持ちが高まり、会場に青いサイリウムの光が満ちてきた頃、光はエイルさんのロゴマークの蝶の形に変化していました。
そして歴代シングル曲のMVへと切り替わる映像。
『MEMORIA』から『翼』までMVが流れるとステージ上で炎が燃え上がり、否応なしに気持ちが昂らされてきます。
そして高台の中央、スタンドマイクとともにエイルさんがせり上がってきました。
登場の衣装は、白のロングドレス。
ヘアスタイルは『流星/約束』のジャケットのような、首筋を覆うくらいの長さで毛先に少しウェーブをかけたような髪型。色は思っていたより茶色っぽい印象でした。
ピアノのイントロが奏でられ、復活公演の1曲目、『約束』が歌われました。
「活動再開へのプレリュードソング」と銘打たれたバラード。
ブランクを感じさせない伸びやかな歌声で、等身大のメッセージを歌い上げるエイルさん。
その姿に、「藍井エイルがここにいる」「藍井エイルが帰ってきたんだ」という感動がこみ上げてきました。
曲に合わせて揺れる青いサイリウムの光は、これまで藍井エイルという人が見せてくれた、そしてまさしく、ずっと待っていた景色でした。
しっとりとした雰囲気で幕を開けたかと思うと、2曲目からは青いドレス姿に早変わりし、『IGNITE』と『AURORA』で一気に空気を変えていきます。
序盤からトップギアで駆け抜けると、
「こんばんは! そして、ただいま!! 藍井エイルです!!」
と大きな声で挨拶をするエイルさん。
客席からは大きな拍手と「おかえり!」の声が贈られました。
このライブの会場は日本武道館。
2016年11月5日、活動休止前に最後に立ったのも、同じ日本武道館のステージでした。
『アヴァロン・ブルー』のサビにある「サヨナラは言わないと誓った 約束の場所まで届け」という歌詞は、武道館という「約束の場所」に帰ってくるエイルさんを予言していたようにも思えてきます。
(僕の記憶が正しければ、『LAST BLUE』のとき、エイルさんは「さよなら」とは言っていませんでした)
この人の歌はこのときのためにあったのかもしれない、と冒頭に書いたのはこういうことです。
セットリストだけ見れば、今回披露されたのは新曲を除けばすべて前回の『LAST BLUE』でも歌われた楽曲でしたが、全体を通じて、前回と今回が似たような印象ということはまったくありませんでした。
各楽曲ごとの印象についても同じことが言えます。
もちろん演出やアレンジ、演奏順などによる違いはありますが、バックグラウンドに「別れ」があるか「再会」があるかでも、聞こえ方は想像以上に変わってくると思います。
デビュー曲『MEMORIA』は楽曲全体がエイルさんへの祝福のようで、やっぱりこの曲は偉大だと思ったし、別れをテーマにした『アカツキ』でさえ、どこか希望が感じられる。そんな気がしました。
中盤に差しかかる頃のMCで、ロングドレスから膝丈スカートのドレス姿になると、休んでいた間にやっていたことの話に。
「前からやってみたかった一人旅とか、自然と触れ合ったりとかしてたんですが、せっかくなので、音楽でも成長できる機会にしたいと思いました」
すると、スタッフからエイルさんにエレキギターが手渡されます。
衣装の鮮やかな青に映えるように、あえて黒のギターを選んだとのこと。
「チャレンジの一つ」であるという、エレキギターを弾きながらの『KASUMI』が、ここで披露されました。
ここからは、今まで見られなかった「いろんな藍井エイル」が感じられたパートでした。
ミディアムテンポのビートに乗せて『KASUMI』を歌い、そして弾き切ると、続いてはこれまた初めてとなる、ダンサーさんを交えてのパフォーマンス。
『アクセンティア』では6人の女性ダンサーが青と白の旗を振り、応援歌であるこの曲をさらに盛り立てます。
アリーナに巨大バルーンが飛んできた『レイニーデイ』では、エイルさん自身もダンサーと一緒に踊ったり、行進したりするような振り付けも見せました。
『GENESIS』では、ダンサーが3枚の布をはためかせるように舞い、妖艶なステージが繰り広げられます。
『GENESIS』のアウトロでエイルさんとダンサーたちがいったん退場しますが、曲は途切れることなくエイルバンドによる演奏へ。
メンバーそれぞれのソロパートなどもあり、会場のボルテージが高められてきた頃、黒い衣装に着替えたエイルさんが爆炎とともに姿を現しました。
そして、GLAYのHISASHIさんプロデュースによるキラーチューン『シューゲイザー』で後半戦がスタート。
5曲を続けて披露したところで、「次は、復帰第一弾となる曲です」とエイルさん。
「この曲は〝決意〟がテーマになっています」
「日々生活する中で、いろんな壁を乗り越えてきたと思います。壁にぶつかったときって、悔しさとか苦しみとかいろいろあると思うんですけど、自分のもってる弱さと向き合わないと、前に進めないんですよね」
それから「自分にできることは何だろう。そんな想いを込めて歌いました。聴いてください」と語り、待望の新曲『流星』を披露。
イントロではまっすぐ遠くを指さし、そして言葉通り決意を秘めた鋭い目と、熱の込められた声で歌い上げました。
余韻たっぷりに歌われた『ラピスラズリ』は、ゆったりとした異国風の楽曲でありながら終盤に向けて空気を張りつめさせ、活動休止前最後のシングルで歌われる機会の少なかった『翼』は、ここにきてようやく「藍井エイルが放つ力強い一曲」としての地位を確立したように思いました。
「ずっと鳴り止まないのは」の歌い出しが聞こえると、熱気は一気に爆発。
ここから、『シンシアの光』『INNOCENCE』『ツナガルオモイ』という怒涛のラッシュへ。
『シンシアの光』の歌詞には、ライブという空間の高揚感、一体感、非日常感、そういったものが内包されていると僕は解釈しています。
『LAST BLUE』以降1年9カ月の間散り散りになっていたファンのエネルギーをまた一点に収束させ、「遠くの空」に届けとばかりに歌い上げた。
そんなふうに感じられる一曲でした。
エイルさんの代表曲でもある『INNOCENCE』は、夢に向かう人の背中を押す歌。
歌手という夢が叶い、武道館に立つ夢が叶い、そして一度は活動を休止したものの再び飛び立つことが叶ったエイルさんの歌声が、武道館に高らかに響きました。
そして、「オモイをもっとツナげてくれますか!」と叫んでからの『ツナガルオモイ』。
過去の武道館公演でもクライマックスで歌われた一曲。
ハンドクラップとコールアンドレスポンスで、1万人のオーディエンスが一つにツナがりました。
「素晴らしいクラップと、素晴らしい歌声を、どうもありがとう!」というエイルさんの言葉に、また拍手が起こります。
最後の曲を前に、エイルさんから感謝の言葉が述べられました。
「私の歌や想いを届ける場所を、たくさんの人が作ってくれた。それは何よりも、みんながずっと私を待っててくれたからです」
「私にはこんなにも感謝を伝えたい人がたくさんいます。これからもそれを歌にたくさん込めて、『ありがとう』を届けていきたいです」
客席からの温かい拍手に、深々とお辞儀をするエイルさん。
「最後は、私の感謝の気持ちをめいっぱい込めて歌います」と前置きして、『虹の音』を披露。
『LAST BLUE』アンコールの最後の曲が、『RE BLUE』本編の締めに歌われました。
同じ歌、同じ「ありがとう」でも、前回と今回では意味合いも聞こえ方も全然違いました。
『LAST BLUE』のときはアウトロが終わる前にエイルさんは退場するという演出になっていました。
泣きながら歌っていて、涙で声が出なかった部分もありました。
ですが今回は最後まで、笑顔で歌い終えました。
曲の演奏がすべて終わっても、エイルさんはステージの上に立っていました。
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大歓声の中、エイルさんとバンドメンバーが退場。
ステージに人がいなくなってからも、客席の青い光が消えることはありません。
すぐさま、アンコールを求める「えいえいるー!」の掛け声が沸き起こりました。
やがて会場の照明が落とされると、突如スクリーンに「緊急告知」の文字が映し出されます。
ここで新情報、ニューシングル『アイリス』のリリースと、東名阪FCツアーの開催が発表されました。
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藍井エイル、15thシングル「アイリス」(『ソードアート・オンライン アリシゼーション』 EDテーマ)10月24日に発売決定
OPテーマはLiSAさんが歌うということも同時に発表されたみたいですね。
藍井エイルファンクラブ「エイルランド」会員限定ライブツアー開催決定
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スクリーンの告知に会場が大きく沸いたところで、グッズのTシャツに着替えたエイルさんと、バンドメンバー、そして6人のダンサーが再びステージにやってきました。
「ダンサーも、エイルバンドも、みんなで一つになって盛り上がりましょう!」と、アンコール1曲目に歌われたのは『シリウス』。
エイルさんと6人のダンサーが、ステージの端から端まで動き回ります。
サビでは腕を大きく横に振り、最後は拳を突き上げるような振りもありました。
ライブで頻繁に歌われている曲ですが、これまでの「一気に燃え上がらせる」ようなものとは少し異なり、「みんなで楽しむ」といったテイストの『シリウス』でした。
ここで、ダンサーとバンドメンバーの紹介。
【ダンサー】
サユリ
サリ
アヤノ
キリカ
モモカ
カリナ
【エイルバンド】
ドラム 楠瀬タクヤ
ベース 黒須〝ローリン〟克彦
ギター 土屋浩一
ギター 新井弘毅
DJ&マニピュレーター 篤志
キーボード&バンマス 重永亮介
ダンサーの6人が退場すると、「いつメン」ことエイルバンドのメンバーと久しぶりに会ったときの話に。
「ずっと休んでたから、バンドメンバーと会うのも久しぶりだったんだけど、みんないい意味で、ぜんぜん心配してなくて。誰からも『大丈夫だった?』とか一言もなくて、『じゃ、曲合わせてみよっか』って」
変な心配をされることもなく、昨日まで一緒にやっていたかのような感覚で合わせることができたとのこと。
「次で本当に最後の曲です」とエイルさんが言うと、客席からは「え~」と惜しむ声。
「この感じも懐かしいな」と笑うエイルさん。
ラストは、『流星/約束』のカップリングに収録されている『ヒトカケラの勇気』。
この曲は、エイルバンドのベーシスト、〝ローリン〟こと黒須克彦さんが作詞作曲編曲を手がけています。
ローリンはほかのアーティストのバックでもベースを弾いていますが、エイルさんが復活するまで〝ローリン〟という名前はずっと封印していたそうです。
(そしてエイルさんはこれをローリン本人からではなく他人から聞いたとか)
そんなローリンの姿勢に、沸き起こる特大の「ローリン!」コール。
ローリンはベースをマシンガンのように構えてそれに応えます。
そして『ヒトカケラの勇気』の演奏が始まると、客席に銀テープが撃ち出されました。
CDで聴いたとき、これはさすがローリンというか、「エイルさんのことをよく知っている人だからこそ書けた曲」だと思いました。
エイルさんの復帰を待っていた人には、この『ヒトカケラの勇気』こそ聴いてほしい、というのが率直な感想でした。
そういった意味で、期待を裏切らない一曲。
ライブで聴きたかったし、聴けてよかった一曲。
タイアップはついていないし、エイルさんの多くのシングル曲にあるようなアニソンっぽさはありません。
しかし非常にキャッチーで、爽やかで、疾走感のあるロックチューン。
ローリンはこれまでにもいろいろなタイプの楽曲をエイルさんに提供してきましたが、こういった雰囲気の曲を提供するのは珍しいかもしれません。
(個人的に、こういう曲は安田貴広さんが作りそうなイメージでした)
ローリン本人が意識していたかはわかりませんが、過去のエイルさんの楽曲をリスペクトしているような部分がいくつかあるように思いました。
たとえば、メロに入る前のドラムの連打とか、落ちサビの最後に声だけ残すとか、1番サビと落ちサビで歌詞が微妙に違う(安田さんがよくやる)とか。
言うまでもなく、ライブ映えもしました。
詞の内容としては、『流星』『約束』は、エイルさんの「これまでの想い」や「復活への決意」を本人の言葉で綴ったもの、対して『ヒトカケラの勇気』は、それをエイルさんのことをよく知っている他人の視点から書いたもの、とみることもできるでしょう。
まさか大トリで歌われるとは思いませんでしたが、改めて振り返ってみると、復活ライブとしてはこの曲が最後に来るのが最高に気持ちのいい終わり方だったように思います。
全20曲の演奏が終わると、エイルさんと、バンドメンバー、そしてダンサーが一列に並んで手をつなぎました。
最後に、恒例の「えい、えい、るー!」のかけ声を、「武道館バージョン」ということで5回連続で、その後さらにもう一回、特大の「えい、えい、るー!」を、会場の全員で響かせました。
(『LAST BLUE』では演出上、この「えい、えい、るー!」がなかったので、これは2016年8月のFCイベント以来、丸2年ぶりだったと思います)
ダンサーとバンドメンバーが袖にはけると、一人ステージに残ったエイルさんは、ノーマイクで最後のメッセージを届けます。
「みんなが待っててくれたこと、この景色を見れたこと、絶対に忘れません!」
「これからも藍井エイルをよろしくお願いします!」
復活を祝う1万人の拍手と歓声に見送られ、エイルさんはステージをあとにしました。
ステージ上に誰もいなくなり、舞台照明が落とされると、スクリーンにエイルさんの直筆メッセージが映し出されました。
待っててくれて
ありがとう!!
新しい景色を
また見つけよう!
2018.8.16
この日歌った曲も、歌わなかった曲も、エイルさん本人が書いた詞も、ほかの誰かが作った曲や詞も、デビューから休止までの5年間も、休止から再開までの1年3カ月も、すべてこの場所につながっていたんじゃないだろうか。
冒頭にも書きましたが、僕はこのライブを見て、そんなことを思いました。
エイルさんが日本武道館に響かせた、めいっぱいの「ただいま」と「ありがとう」。
そしてそれに応えるオーディエンスの拍手と声援と、青い光。
この景色を、ずっと待っていました。
藍井エイルさん、おかえりなさい。
みんなが待っていてくれたから、今日のこのライブを迎えることができました。
本当にありがとう。
そしてこれからも、たくさんの感謝の気持ち伝えさせてください!
また会いましょう!したっけ♪エイル pic.twitter.com/NfvGEc105V— 藍井エイル(あおいえいる) (@eir_ruru) 2018年8月16日
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藍井エイル Special Live 2018 ~RE BLUE~
2018年8月16日(木) @日本武道館 セットリスト
01.約束
02.IGNITE
03.AURORA
04.アヴァロン・ブルー
05.MEMORIA
06.アカツキ
07.KASUMI
08.アクセンティア
09.レイニーデイ
10.GENESIS
11.シューゲイザー
12.流星
13.ラピスラズリ
14.翼
15.シンシアの光
16.INNOCENCE
17.ツナガルオモイ
18.虹の音
ENCORE
EN1.シリウス
EN2.ヒトカケラの勇気
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セットリスト、もうちょっと詳しいやつも作ってみました。
(クリックすると拡大します)
なんかこう、描かずにはいられなかった。
今回のライブの開催と新曲情報の解禁に伴い、こちらの記事も更新しました。
それでは、今回はこのあたりで。