
自作の小説『片翼の蝶と白昼夢』のイメージイラストを描いてみました。
この絵の制作過程をまとめてみたいと思います。
■使用ソフト:CLIP STUDIO PAINT PRO
■画像サイズ:1280×720
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ラフ
画面真ん中で主人公が座って手を伸ばしていて、左のほうでサブヒロインちゃんが寝ているような構図です。
彼女たちの背中側にあるのは『例のマシン』です(くわしくは本編をお読みください)。
『明日はきっと晴れますように』のときはアオリの構図にしたので、今回は俯瞰の構図に挑戦してみようと思います。
主人公下描き
よく見るとラフにちょうちょが追加されています。
主人公が蝶に手を伸ばす、あるいは蝶を放っているような感じの絵に……なったらいいですね。
主人公の手は、自分の手をスマホで撮ってそれを見ながら描きました。
こういう角度だと、手の平って意外と隠れるんですね。
女の子だから僕のより綺麗な指だと思うんですけど、こんなんで大丈夫だったかなぁ…。
ここからは、30分ごとに保存したものを載せていきます。
工程ごとの解説ではないのでご了承ください。
30分
サブヒロインちゃんの輪郭を描き始めました。
1時間
見づらいのでラフのレイヤーをいったん消して、もうちょい描き進めます。
1時間30分
キャラの線画がおおよそできてきました。
2時間
肩の位置がおかしい気がしたので、主人公の手を修正。
加えて、足もほっそりさせました。
さらに目・髪の毛を追加(それぞれ別レイヤーに描いています)。
小物も描き入れました。
手首のやつとサブヒロインちゃんの包帯です。このへんのことは、詳しくは本編をご覧ください。
2時間30分
うしろにある『例のマシン』の着色。
べた塗りはせず(したほうがよかったのかな)、ラフの上に[オーバーレイ]レイヤーを作成して、そこに[不透明水彩]や[透明水彩]などで色をつけています。
3時間
キャラべた塗り。
パーツごとにレイヤーを分けて色を置いていきました。
目は微調整が面倒なのであとで塗ります。
(寝てる子、肌の色がちょっと不健康的すぎない? まあ作品の設定上、あまり健康的な子じゃないんだけどさ)
3時間30分
目の着色、配置の調整、それから『例のマシン』にケーブルをざっくりと追加してみました。
『例のマシン』の陰を[乗算]、ハイライトを[加算(発光)]でちょっとずつ描き入れています。
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4時間
ケーブルを整えて、地面に影っぽいのを描いていきました。
大まかな光の向きを決めてから人物の陰に着手したいので、先に背景の影や光から描くことが多いです。
4時間30分
地面と壁をもう少し整え、人物の陰へ。
下塗りの色を置いたレイヤー群を一つのフォルダにまとめて、そのフォルダの上に[乗算]レイヤーを重ねます。
そして下塗りの色と同じかちょっと暗めの色を[透明水彩]などで置いていき、境目の部分を[色混ぜ][ぼかし]などで伸ばしていきます。
5時間
人物の陰がちょうど終わったくらいです。
5時間30分
マシンから出ているケーブルの数や形を変えたりしてみました。
6時間
目安として全体の影を置いてみます。
一番上に[乗算]レイヤーを置いて、[柔らか]エアブラシで濃いめの緑色を吹きつけました(不透明度は32)。
6時間30分
重い腰を上げて蝶に着手。
タイトルにもある、片翼の蝶です。
まずはざっくりとしたシルエットと輪郭です。
本をV字に広げて斜めから見ることで形のイメージをまずつかみました。
見やすくするために、マシンの色部分の一部をいったん非表示にしています。
7時間
そのへんの写真を参考にアゲハ蝶っぽくしていきます。
【参考】
http://animalbattles.wealthyblogs.com/?p=8669
http://www.flowers-beauty.com/010_life/swallowtail/swallowtail_10.htm
http://www.insects.jp/kon-tyoageha.htm
7時間30分
あーめんどくせぇ…。
アゲハ蝶の羽は黄色と黒がメインですが、下のほうには一部オレンジと青の模様も入っているみたいですね。
あと、胸と腹の部分にも黒い縞のような模様がありました。
蝶はこれでだいたいできました(このあと脚と触角を追加します)。
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8時間
マシンの非表示にしていた部分の色を元に戻しました。
蝶の足と触角を追加。
さらに拡大して[ガウスぼかし]で、こっち側に飛んできてるっぽい雰囲気を出します。遠近法ですね。
[ぼかす範囲]は10くらいにしました。
右上に[加算(発光)]モードで薄い緑色(H128/S32/V100)を描き入れ、光が入っている感じを出しました。
8時間30分
光の量や方向、蝶の向きを修正。
このへん、ちょっと集中が切れてきて惰性で進めてしまっていた感があります…。
9時間
キャラ2人の輪郭線を塗りの色になじませました。
あと、右上からの光を強くしてみました(強くしすぎました)。
輪郭線には、「色トレス」などと呼ばれる手法を用いています。
この工程については、詳しくはこちらにまとめました。
9時間30分
蝶の向きと大きさを修正。
そして光が強すぎたので少し弱めました(不透明度32)。
これで完成でもいいんですが、もうちょっと背景を描き込んでいきます。
10時間
地面にコンクリートの溝を追加。
まず地面に使った色をスポイトで取得し、その明度と彩度を下げた色で、[直線](ブラシ形状は[水彩])を使って新規[乗算]レイヤーにタイルのような形を描きます。
直線だけだとあまりリアリティがないので、ところどころひび割れや欠けを[不透明水彩]などで描き入れると雰囲気が出ます。
さらにそのレイヤーを複製し、[オーバーレイ]モードにしてちょっとだけずらすと、なんかいい感じに凹凸ができたような気がします。
壁にも線を入れています(一応これもコンクリートの溝のイメージです)。
あと、左のほうの影を濃くしています。
あいまいな部分は黒く塗りつぶしてごまかせばいいんだ
10時間30分
強い光が当たるのと蝶が目立たなくなってしまうという理由から、右上のほうの溝の線を消しています。
[加算(発光)]モードのレイヤーを作成し、主人公にハイライトを入れました。
ブラシは主に[不透明水彩]、色は光と同じもの(H128/32/100)です。
11時間
ハイライトを[色混ぜ][指][ぼかし]を使って伸ばし、なじませていきます。
昼の日差しのようにしたかったので、右上から入る光の色を水色に変えました。
(具体的には、[色調補正]で色相を+64しました)
最後にサインを入れて完成です。
さて、ラフとかにかけた時間も含めると、所要時間は正味丸半日。
このくらいの絵なら、もうちょっと早くしたいですね。
線画と光の入れ方かなぁ。
このあたりはまだ描くときに迷いがあって、その分時間を使ってしまう気がする。
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ちなみにこの絵は、以前描いた絵のリメイクのつもりで描いています。
リメイク前はこちら。
そんで、リメイク後(本メイキングで紹介したもの)がこれ。
自分で言うのもなんですが、だいぶ変わったんじゃないでしょうか。
リメイク前の絵を描いたのが2017年12月、リメイク版を描いたのが2018年4月なので、4カ月ほど経っていますね。
細かいことですが、画像サイズも変わっています(たぶん、4:3だったのが16:9になった)。
機会があれば、またこんな感じで制作過程をまとめてみたいと思います。
冒頭でも述べましたが、この絵は『片翼の蝶と白昼夢』という自作の小説をイメージしたものとなっています。
よろしければ小説もご覧ください。
【小説】『片翼の蝶と白昼夢』
それでは、今回はこのあたりで。