
個人的な好みと、ふとした思いつきの話。
2018年8月26日、『仮面ライダービルド』が最終回を迎えました。
始めに断っておきますが、この記事は『仮面ライダービルド』最終回のネタバレを含みます。考察やレビューではなく、ああいう終わり方いいよねっていう記事です。
[最終回のおおざっぱなあらすじ(ネタバレ注意)]
仮面ライダービルドの桐生戦兎は、地球滅亡を目論むエボルトを阻止するため自らエボルトとともに滅びることを選んだ万丈龍我を取り戻し、エボルトを次元の狭間に閉じ込め、新世界を創ることに成功します。
戦いを終えた戦兎が目を覚ますと、そこは桐生戦兎という人物が存在しなかった世界。かつての仲間もその世界にいますが、誰も戦兎のことは知りません。
しかしながらただ一人、仮面ライダークローズとして戦兎とともに戦った龍我だけは新世界にも生きていました。
そして戦兎が万丈に「俺たちの記憶を49のデータに分けた(=本編49話分の物語にした)」と語ったところで、物語は幕を閉じます。
ラストはすごく綺麗、というか僕好みの終わり方でした。
「ここまでのお話はすべて誰かが作った物語の中の出来事でした」みたいな描写が好きなんですよね。
「私たちはこの物語のような素晴らしい世界を作れるんだよ」というのもいいし「物語世界の外にいる私たちはちっとも救われなかったね」というのもいい。
現実にドラマらしいドラマを何一つ見出だせない僕は、どんなに現実的な物語でも物語はしょせん架空の出来事でしかないということを物語自身が示してくれる、みたいなメタ的描写にある種の安心感を覚えるのかもしれません。
あるいは、自分が生きている世界は何者かが作った壮大なエンターテイメントなのだという感覚が僕は昔からあるんですが、だからこういう物語を見ると我が意を得たりと思うのかもしれません。
そういえば、好きと言っておきながら自分の作品にはまだこういう話はないなぁ。
いつか書いてみたいですね。
さて、タイトルにも書きましたが、『仮面ライダービルド』の主題歌である『Be the One』の歌詞を、最終回を視聴したうえで無理矢理解釈してみました。
軽い気持ちで作ったやつなので、とりあえずTVサイズのみ。
ネタバレ注意。異論は認めます。
(歌詞はJ-Lyric.netより)
主題歌を手がけるのがPANDORA (小室哲哉×浅倉大介) と聞いて、これは見なきゃいけないだろう、と思って見始めた『仮面ライダービルド』。
実際、『Be the One』は期待をはるかに上回る名曲でした。
小室先生の独特の詞とメロディラインに、大ちゃんの先鋭的なサウンド。それだけでもすごいんですが、Beverlyさんの歌がまためちゃくちゃ上手い。たとえるなら、何一つ小細工のない強烈な右ストレートみたいな歌声ですね。
フルバージョンを初めて聴いたときは、1曲でアルバム1枚分聴いたくらいのボリュームを感じました。
『ビルド』は主題歌から入った作品でしたが、本編も毎回おもしろく、気がつけば1年見てしまいました。
僕が1年通して見たのは、平成ライダー最初の作品『仮面ライダークウガ』以来でしたね。
各回の話数が数式で表されていたり、秘密基地の黒板に毎回異なる数式が書かれていたりするなどの細かい点も、理系としては要注目のポイントでした。
『ビルド』のラストは、温かいながらもどこか寂しさもある終わり方でした。
100%幸せな結末ではないでしょう。あれをハッピーエンドととるか否かは意見が分かれるかもしれません。
ですが、僕はハッピーエンドだと思いました。
東映公式サイト内にて、大森敬仁プロデューサーは「『ビルド』が一貫して描いてきたのは、見返りを期待しない正義」としたうえで、「でも桐生戦兎は(中略)恐らく知っていたのだと思います。自分の行為が周囲の人を動かし、やがて自分自身に還ってくるということを」と語っています。
創り手というのは時に孤独で、その存在すら認識されないかもしれません。
見返りを求めてもいけないのかもしれません。
しかし自らの正義を貫けば、それは人々の心を動かし、いつか自分自身に還ってくるのです。
「明日の地球」を救った戦兎ですが、新世界では誰も彼のことを知りませんでした。
しかしそんな世界にも万丈龍我だけはいた。「どこかで会ったことありますよね?」と言った美空もいた。
そして何より、戦兎の想いは『仮面ライダービルド』を見ていた視聴者の心に伝わったはず。
『Be the One』の歌詞に「何かを助け救って抱きしめ 心に触れて 届くよ 伝われ」とあるように。
そういった意味で、作品と主題歌のベストマッチも素晴らしかったです。
余談というかこれまた無理矢理な解釈になりますが、2018年1月、小室哲哉さんが音楽活動の引退を発表しました。
しかしながら、小室さんが作った楽曲は消えることはなく、世代を越えて多くの人の心に残り続けていくでしょう。
実際、小室さんの影響を受けて音楽に目覚め、現在第一線で活躍しているミュージシャンも数多くいます。
こういったところにも『仮面ライダービルド』のテーマは生きているのかな、と思いました。
それでは、今回はこのあたりで。